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組織が業務を効率化できるのは習熟した人員が業務に当たるからでした。
ただし、組織は分業している故の欠点もあります。そのため機能させるにはルールが必要になります。
組織では一部が機能しないだけで全体が機能しなくなりますし、一部が決められたこと以外のことを行うと機能不全に陥ってしまいます。
人体も組織ですが、1つの臓器が機能しないだけで死んでしまいますし、手足が好き勝手に動作すると歩くことさえできないのと同じです。
組織では、役割通り機能しないことは許されませんし、命令された以外のことをしてはいけないのです。
会社等の組織も同じです。学生に「会社とは不条理なものだ、頑張れ」とエールを送る人がいます。
会社の方針が間違っていて、どんなに自身の判断が正しいと考えても、組織では会社の方針通りに行動しなければなりません。手足が勝手に動くようなことは許されないのです。これが会社が不条理に思える理由です。
もう一つ組織に必要なものの例を挙げます。
戦国時代の戦でも組織は用いられていました。ある大将が戦場で自軍の3倍の敵に勝つための戦略を考えました。
部隊を2つに分け、1隊を別動隊として敵の裏山から陣地を奇襲させます。敵は裏山から襲ってくるとは思わないので混乱するはずです。その混乱に乗じてもう1隊である本体が正面から突入するというものです。
攻撃する日を明日の卯の刻と決めました。
早速、別動隊が裏山に向かいます。幸い雨で薄暗いことから部隊の移動に適しています。
別動隊が進むと、裏山の手前の大きな川が増水していることが分かりました。とても無事に渡れるような状況ではありません。
別動隊を率いた司令官は考えます。
「このまま川を渡ると部隊の2/3が溺死してしまうだろう、これではとても渡れない、引き返そう。」
「いやしかし、裏山から我々が強襲すると思って突入した本体は、別動隊に兵を割いて数も少ないこともあり、我々が行かずに突入したら全滅してしまうだろう。」
「兵力が1/3になっても行くべきなのではないか」
さて、皆さんならどう考えるでしょう。
どちらも組織の仕組みからすると不正解です。司令官が判断すること自体が駄目です。手足が勝手に判断するようなものだからです。
正解は、現在の状況を大将に報告することです。そうすれば大将が判断します。そのために狼煙等の信号があります。川を渡ったり裏山に着いたり、突入する準備が整ったりした際の合図を決めておき情報を伝達すべきなのです。
この例から分かる通り、組織は情報の伝達が出来なければ機能しません。
身体に例えると、指が「痛い」という情報を脳に送ったり、「動け」という情報を脳から指に送ったりする際に、神経が切れていて情報が伝わらなければ機能しないのです。
組織では「与えられた役割を行う」「与えられた役割以外の判断をしない」との運用ルールの他に「情報を伝達する仕組み」が必要になるのです。